DiscGenicsの変形性椎間板症治療用再生医療等製品がFDAよりファストトラック指定を取得

2019年08月26日(月)

ソルトレイクシティ(ユタ州):臨床開発段階にあるバイオベンチャー企業であり、脊椎関連変性疾患を患う患者の疼痛緩和および機能改善をする再生医療等製品の開発に注力するDiscGenics, Inc.は、日米において開発中のIDCTがアメリカ食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)よりファストトラック指定されたことを本日発表した。慢性的な腰痛の主な原因の1つである変形性椎間板症由来の疼痛の緩和および障害の改善を目指すIDCTは現在、規制当局管轄下の臨床試験で日米において開発されている細胞治療製剤である。 

ファストトラック指定制度は、重篤または生命を脅かす恐れのある疾患およびアンメットメディカルニーズの高い疾患に対して、治療効果が期待される新薬をFDAが優先的に審査する制度であり、この指定を取得することで、FDAと協議機会をより多く与えられ、新薬の開発ならびに審査を促進することができる。 

指定取得に関し、DiscGenicsのCEO兼会長であるフラグ·フラナガン氏は「弊社がこれまでに収集してきた有力な前臨床(1)および安全性データに裏付けられた朗報であり、治療オプションに欠ける腰痛をFDAが重篤な疾患として認識していることを示唆している」とコメントした。また、「弊社はこれまで、既存規制の枠組みの中で可及的速やかにIDCTを患者様に届ける努力をしてきており、この指定取得によって当該努力に対し、以前にも増してコミットして行きたい思いである」ともコメントしている。

IDCTに含まれる他家·相同利用のディスコジェニック細胞は、椎間板組織由来の前駆細胞であり、注入剤であるため、低侵襲な方法で軽度から中程度の変形性椎間板症の組織再生を促す可能性を秘めている。また、他家の細胞治療製剤であるIDCTは、アメリカ公衆衛生法(PHSA:Public Health Service Act)セクション351に基づきFDA生物製剤評価研究センター(CBER:Center for Biologics Evaluation and Research)の管轄下にある。このためDiscGenicsは、厳重な新薬開発プロセスを設けており、治療効果を臨床評価しつつ、cGMP製造によって細胞治療開発に必要なロット間の品質および安全性を担保している。 

IDCTは、cGMP環境下で製造され、使用前に広範囲な検査(含む同定·力価·安全性·純度)を受けている。DiscGenicsでは現在、上市前の製造プロセスのスケールアップを実施している。フラナガン氏と共にララ·シルバーマン氏(シニア·ディレクター)が、弊社の米国ユタ州ソルトレイクシティにある研究ラボからこれらについて紹介している。

現在DiscGenicsは、日本および米国においてIDCTを評価する個別の多施設共同·コントロール下·無作為化·二重盲検試験を実施している。米国においては、新薬臨床試験開始届(IND:Investigational New Drug application)を提出し臨床試験を開始しており、上市前には生物学的製剤承認申請書(BLA:Biologic License Application)を提出する予定である。また、日本における臨床試験は、医薬品医療機器総合機構に提出した治験計画届出に基づき実施している。両試験の主要評価項目は安全性であり、有効性の主

要評価項目は痛みの軽減度合いである。また、副次評価項目として障害の改善および画像診断項目の改善を設定している。なお、米国の臨床試験では既に低用量コホートにおける安全性が確認されており、日米両試験において現在も被験者の募集を行なっている。

慢性腰痛および変形性椎間板症について

慢性的な腰痛は、世界で最も多い障害の要因であり(2)、米国においては、がんの痛みに使用される分を除けば、最もオピオイド鎮痛剤が処方される重篤な疾患である(3)。また、米国では成人の12%~30%が患う疾患と言われており(4)、1年間で同国の医療制度にかかる負担として1千億ドル超と言われている(2)。このため、医療経済はもちろんのこと、患者様一人一人にも重い負担がかかる疾患である。慢性腰痛に悩む患者の約40%は、椎間板の変性を伴う慢性的かつ進行性の疾患である変形性椎間板症を患うとされている(5)(6)(7)。

DiscGenicsについて

DiscGenicsは、脊椎関連変性疾患を患う患者の疼痛緩和および機能改善をする再生医療等製品の開発に注力する臨床開発段階にある未上場バイオベンチャー企業である。世界で唯一椎間板疾患を治療するための椎間板由来他家細胞治療製剤を開発した企業として、腰痛に悩む数多くの患者を治療するユニークなポジションを有している。同社最初の開発品目であるIDCTに含まれる他家·相同利用のディスコジェニック細胞は、椎間板組織由来の前駆細胞であり、手術を伴わない注入剤として投与されるため、低侵襲な方法で軽度から中程度の変形性椎間板症の組織再生を促す可能性を秘めている。
より詳しくは、弊社ホームページ参照<www.discgenics.com/home-ja>

参考資料

1. Silverman, L., Dulatova, G., Tandeski, T., Erickson, I., Lundell, B., Toplon, D., Wolff, T., Howard, A., Chintalacharuvu, S., Foley, T. In Vitro and In Vivo Evaluation of Discogenic Cells, An Investigational Cell Therapy for Disc Degeneration. The Spine Journal, published online 2019 Aug 20.

2.  Hoy, D., March, L., Brooks, P., Blyth, F., Woolf, A., Bain, C., Williams, G., Smith, E., Vos, T., Barendregt, J., Murray, C., Burstein, R., and Buchbinder, R. The global burden of low back pain: estimates from the Global Burden of Disease 2010 study. Ann Rheum Dis 73, 968, 2014. 

3.  Ringwalt, C., Gugelmann, H., Garrettson, M., Dasgupta, N., Chung, A.E., Proescholdbell, S.K., and Skinner, A.C. Differential prescribing of opioid analgesics according to physician specialty for Medicaid patients with chronic noncancer pain diagnoses. Pain Res Manag 19, 179, 2014. 

4.  Davis, M.A., Onega, T., Weeks, W.B., and Lurie, J.D. Where the United States spends its spine dollars: expenditures on different ambulatory services for the management of back and neck conditions. Spine (Phila Pa 1976) 37, 1693, 2012. 

5.  Freemont, A.J. The cellular pathobiology of the degenerate intervertebral disc and discogenic back pain. Rheumatology (Oxford) 48, 5, 2009. 

6.  Anderson, D.G., and Tannoury, C. Molecular pathogenic factors in symptomatic disc degeneration. Spine J 5, 260S, 2005.

7.  Zhang, Y.G., Guo, T.M., Guo, X., and Wu, S.X. Clinical diagnosis for discogenic low back pain. Int J Biol Sci 5, 647, 2009.