DiscGenicsが日本国内で実施中の変形性椎間板症を対象とする臨床試験において 第1回独立データモニタリング委員会(IDMC)安全性評価を通過

2020年01月07日(火)

ソルトレイクシティ(ユタ州)・東京:脊椎関連変性疾患に伴う疼痛緩和および機能改善を目的とした再生医療等製品の開発をする臨床開発ステージのバイオベンチャーであるDiscGenicsは、慢性的な腰痛の主な原因の1つでもある軽度から中程度の変形性椎間板症(DDD)の日本人被験者を対象とし、他家由来の椎間板細胞治療用注入剤(IDCT)を用いる二重盲検試験が第1回安全性評価を通過したと本日発表した。

IDCTは、生物医科学的に加工を施した椎間板由来前駆細胞(通称「ディスコジェニック細胞」)を用いた、他家・相同利用の細胞治療法である。注入剤であるため、低侵襲な形で軽度から中程度のDDDにおいて組織再生を促す可能性を秘めている。

IDCTの安全性および有効性を評価する臨床試験(2用量・Sham対照・二重盲検・並行群間比較)は、今年より日本国内に位置する6つの大学病院において、単一高位DDD(有症状)患者を対象に実施されている。

この度の評価では、独立データモニタリング委員会(IDMC)が非盲検下でIDCT群(低用量群・高用量群)或いはSham群に無作為に組入された被験者5例の安全性データを検証した。この結果、安全性上の問題は確認されず、治験実施計画書に変更を加えない形で臨床試験の続行が可能とIDMCは判断した。

DiscGenicsの会長・社長であるフラッグ・フラナガンは、今回の結果に関し「IDCTは、慢性的な腰痛に苦しむ人々に革新的な治療オプションを提供する可能性を秘めておりますため、第1回のIDMC安全性評価を通過することができ、再度臨床試験に患者の組入を開始できることを大変嬉しく思っております。」とコメントをしており、「今回の臨床試験では、投与を受ける被験者および投与後評価をする医者が共に盲検下でありますため、両者ともに施された処置がIDCTであるのかを把握しておりません。このため、臨床現場における安全性維持のためにも、IDMCのような独立性が担保された非盲検下安全性評価を定期的に実施することは必要不可欠です。」と続いた。

変形性椎間板症(DDD)について

DDDは、椎間板内の細胞外マトリックス崩壊、炎症そして痛みを伴う慢性的な進行性疾患である。総患者数は100万人超と推計されており、日本国内においては年間で約20万人に対してDDD治療のための施術が実施されている。軽度DDDへの治療オプションとしてはリハビリ及び疼痛管理はあるものの、病状がある程度進んだDDDに対しては、疼痛の根源となっている椎間板を切除した後に上下の椎骨を融合する施術などの侵襲性が高い治療オプションしか残されていない場合が多々ある。しかしながら、これら施術の成功率は決して高いわけではなく、施術後に上下の椎体に変性を誘発させる結果につながる可能性を秘めている。

日本国内で実施中の臨床試験について

日本で実施されている臨床試験は、腰椎椎間板変性症患者(有症状)を対象とした 、無作為・多施設共同・Sham対照・二重盲検並行群間比較法によってIDCTの安全性と有効性を評価する目的があり、国内6つの施設に渡り計38例の被験者を組み入れるものとなっている。選択基準に該当し除外基準に抵触しない被験者は、IDCT低用量群(n=15)・IDCT高用量群(n=15)・Sham群(n=8)のいずれかに振り分けられ、症状を有する患部に単回投与を受ける。投与後の被験者は、6ヶ月間の二重盲検観察期を経て、更なる6ヶ月間の継続観察期で評価される。

本治験は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)への治験届を提出後に開始された臨床試験であり、条件付き早期承認制度を駆使して日本国内での上市を目指す予定である。

詳しい試験内容はこちらを参照

現在DiscGenicsは、アメリカでも腰椎椎間板変性症患者(有症状)を対象とした無作為・多施設共同・溶媒対照・プラセボ対照・二重盲検並行群間比較法によってIDCTの安全性と有効性を評価する第Ⅰ/Ⅱ相試験を実施している。同試験は、米国食品医薬品局(FDA)管轄下で実施されており、同局へ新薬臨床試験開始届(IND)を提出して開始されている。また、上市の際は同局に対し生物学的製剤承認申請書(BLA)を提出する予定である。なお、同試験は既に独立データモニタリング委員会による最後の安全性評価を通過しており、被験者の最終組入ステージまで進行している。

DiscGenicsについて

DiscGenicsは、脊椎関連変性疾患を患う患者の疼痛緩和および機能改善をする再生医療等製品の開発に注力する臨床開発段階にある未上場バイオベンチャー企業である。世界で唯一椎間板疾患を治療するための椎間板由来他家細胞治療製剤を開発する企業として、腰痛に悩む数多くの患者を治療するユニークなポジションを有している。同社最初の開発品目であるIDCTに含まれる他家·相同利用のディスコジェニック細胞は、椎間板組織由来の前駆細胞であり、手術を伴わない注入剤として投与されるため、低侵襲な方法で軽度から中程度の変形性椎間板症の組織再生を促す可能性を秘めている。

より詳しくは、弊社ホームページ参照<www.discgenics.com/home-ja>